萩亭日記

2人の男子(6歳、8歳)を育てながらフルで看護師で働いてる私の、何気ないことしかない日記

認知症と家族と

骨粗鬆症の治療で、毎月注射に通っていらっしゃる96歳女性 Mさん👵

 

 

話し方は上品で、病院に来るときもきちんとした洋服で1人で通ってこられていた。

 

 

趣味は麻雀で、毎週金曜日は麻雀のお仲間がMさんのお宅に遊びにきて、みんなで麻雀を楽しむのと楽しいそうに話されていた🀄️

 

 

体も心も元気なMさんを、私は密かに【奇跡の90代✨】とこんな風になりたいと憧れをもってみていた😌

 

 

そんなMさんが、先月の終わり、娘さんに付き添われて来院した🏥

 

 

以前に転倒して頭を打撲、頭蓋骨の下にある硬膜の内側に出血がじわじわとたまり、一定量に達したために脳を圧迫して意識状態が悪くなり、手術のため1週間ほど入院していたとのこと🤯

 

 

無事退院となり、退院したその足でご家族と一緒に当院に寄ってくださった。

 

 

いつものように👩‍⚕️「大変でしたね」と話しかけた私は、Mさんの返答に驚いた😮

 

Mさんは無表情で、

👵「あなたわかってる?だめなのよ。」と、辻褄が合わない返答が帰ってきて、会話が成り立たない。

 

 

👩‍⚕️「久々のご自宅でのごはん、何食べます?」

 

 

👵「なんでもいいわよ」

今までの、上品で優雅な雰囲気のMさんからは想像できないような返答。

 

 

高齢になると入院中にせん妄を引き起こしたり、認知機能低下を招くリスクは高くなる。

そのことを見越して、Mさんも手術して1週間というスピードで退院してきたのだが、退院後のMさんは別人のようになっていた🤬

 

 

今はコロナで面会ができないので、退院の際久々に会ったお母さんが、別人のようになったことに驚いた娘さんが、クリニックにMさんを連れてきたのだった🩺

 

 

👨‍⚕️「今回、脳の手術していること、入院という環境の変化にあったため、これから認知機能の状況は改善していくかもしれませんよ」と先生が話し、Mさんと娘さんは帰っていかれました。

 

 

今月になり、骨粗鬆症の注射のため再度、娘さんと来院されたMさん👵

 

 

👵「みんなはおかしいって言うけど、自分ではしっかりしてるのよ」

 

 

👩‍⚕️「誰がおかしいって言うんですか?」

 

 

👵「誰かしら?先生だったかしら。ということだから、そういうところもあると分かっておいて」とMさんは淡々と話される。

 

 

👩‍⚕️「麻雀はやってるんですか?」

 

 

👵「やってるわよ」

 

 

👩‍⚕️「お仲間が来てくれるっていいですね。」

 

 

👵「うちに麻雀があるからね」

 

 

前回来院時よりも会話は成り立つようになっているが、以前の穏やかな口調ではなくどこか怒っているような口調で、表情は無表情で話される🗣

 

 

注射を終えたMさんが娘さんのところに戻ると娘さんがすかさずやってきて

👩「何か話してましたか?」

👩‍⚕️「周りは自分のことをおかしいって言うけど、自分ではそうは思わないってこと話されてました。もとがとてもきっちりされた方なので、周りから何か言われてもその自己イメージは崩したくないのかもしれませんね」

👩「いまだに、私のこともわからなくて、知らない人って思ってるみたいです。母は、前と変わりましたか?」

👩‍⚕️「かなり変わられた印象を受けます。以前のMさんは、96歳ながら趣味もあり、1人で病院にいらっしゃる、個人的には奇跡の90代と思ってましたから。とてもしっかりされてましたけど、90歳というご年齢であることはたしかなので入院・手術の影響が大きかったのかもしれませんね。麻雀また復活されたみたいで!」

👩「はい。。

ただ、一緒に麻雀やっていた方のことも覚えてなくて、ルールも分からなくなってきているので、お仲間の方からも、今年いっぱいで。。と言われてるんです。麻雀でつながる関係ですから、麻雀がちゃんと出来ない状況でお引き止めするわけにもいかなくて。」

👩‍⚕️「なるほど、それは娘さんとしてもつらい状況ですね。介護保険で麻雀やってるデイサービスに行くのもいいですね。職員の方が入れば、フォローもしてくださりそうですし」

👩「いま、麻雀やってるデイサービス探してるんです。ただ、将棋とかと違って4人集まらないといけないので、メンバーが集まらなくてと言われてるんですけどね」

👩‍⚕️「Mさんはお話も上手ですし、人との関わりに苦手意識があるわけでもないので、おしゃべりに行くだけでもいい刺激になると思いますよ。人数がそろえば、麻雀もできるかもしれませんしね」

👩「そうですね、いろいろやってみます」

 

 

娘さんとの話から、娘さんがMさんの認知機能低下を受け止めきれない状況であることが伺えた。確かに、物忘れが徐々に多くなり、少しづつあれ?と思うような行動が増えるというパターンでは、徐々に心構えもできてくるし、先の見通しがつきやすい🛣が、今回のように、入院や病気を機に急激な認知機能低下をきたした場合、急激な気持ちの整理と現実の対応をせまられることで、キーパーソンとなる人の精神的な負担ははかりしれない📦

 

 

大きな悩み事を抱えるときには、今までは良き相談相手だった相手も失っている状況にストレスを感じないはずはない⚡️

 

 

通ってくるクリニックの看護師という立場でできることは、話を聞くくらい。聞いて、一緒に悩んで、何ができるか考えて🙄

 

 

たったそれだけかもしれないが、いつか「あんときは大変でしたよねー」なんて笑顔で話ができる日がくるまで、Mさんと娘さんと共に歩み続けられたらいいなと思う😌

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